毎月分配投信と無分配投信とETFの比較(その1)

資産運用のブログを拝見していると、このテーマについて様々な議論が交わされています。

私自身は以前は投資していたのですが、【失敗談】ワールド・リート・オープン(毎月決算型)にてお話したとおり、主に信託報酬が重くのしかかることを理由として撤退してしまいました。その後は毎月分配型投信についての記事は書いておりませんでした。

しかしながらやはり毎月分配型投信は人気があるようですので、実際のところどうなのか調べてみることにしました。

今回は債券のアセットクラスを対象にして、グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)、海外債券オープン(毎月決算型)、eMAXIS先進国債券インデックス、1677_上場外債を並べてみます。

運用の中身がそれぞれ異なりますから単純に優劣を比較することはできませんが、傾向は分かると思います。(グローバル・ソブリンは国内債券を含んでいますが、他3本は国内債券を含んでません。)

分配金は税引き前です。単純化するため月次での分配金再投資を考慮していません。投信3本は基準価額ですが、ETFは市場価格です。



【グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)】
投信会社:国際投信投資顧問
信託報酬:1.35%

(A)
(B)
(C=B/A)
(D)
(E=D/A)
(F=C+E)

年初値
年末値
変動率
分配金
分配率
トータルR
2010年
6,311
5,251
-16.8%
420.00
6.7%
-10.1%
2011年
5,291
4,816
-9.0%
420.00
7.9%
-1.1%
2012年
4,784
5,149
7.6%
420.00
8.8%
16.4%
2013年
5,171
5,445
5.3%
420.00
8.1%
13.4%
2014年
5,397








【外国債券オープン(毎月決算型)】
投信会社:三井住友TAM
信託報酬:0.97%

(A)
(B)
(C=B/A)
(D)
(E=D/A)
(F=C+E)

年初値
年末値
変動率
分配金
分配率
トータルR
2010年
8,624
6,954
-19.4%
540.00
6.3%
-13.1%
2011年
7,030
6,463
-8.1%
540.00
7.7%
-0.4%
2012年
6,388
7,229
13.2%
390.00
6.1%
19.3%
2013年
7,223
8,502
17.7%
240.00
3.3%
21.0%
2014年
8,424








【eMAXIS 先進国債券インデックス】
投信会社:三菱UFJ投信
信託報酬:0.65%

(A)
(B)
(C=B/A)
(D)
(E=D/A)
(F=C+E)

年初値
年末値
変動率
分配金
分配率
トータルR
2010年
9,878
8,567
-13.3%
0.00
0.0%
-13.3%
2011年
8,656
8,643
-0.2%
0.00
0.0%
-0.2%
2012年
8,536
10,301
20.7%
0.00
0.0%
20.7%
2013年
10,294
12,519
21.6%
0.00
0.0%
21.6%
2014年
12,409








【1677_上場外債】
管理会社:日興AM
信託報酬:0.25%程度

(A)
(B)
(C=B/A)
(D)
(E=D/A)
(F=C+E)

年初値
年末値
変動率
分配金
分配率
トータルR
2010年
50,800
43,200
-15.0%
2,239.00
4.4%
-10.6%
2011年
43,400
39,550
-8.9%
2,297.00
5.3%
-3.6%
2012年
39,450
45,700
15.8%
1,680.00
4.3%
20.1%
2013年
45,950
53,500
16.4%
1,644.00
3.6%
20.0%
2014年
53,300








こうして並べてみてみると、毎月分配型投信もそんなに悪くないなという印象を受けます。グローバル・ソブリンは他の投信に比べて、下落時は下落幅が小さく、上昇時は上昇幅が小さいように見えます。分配金を払い出すために元本を取り崩しているからだと思われます。

外国債券オープンはeMAXIS先進国債券と同等レベルのトータルリターンに見えますが、信託報酬の差がわずかではありますが、効いているように見えます。一年ごとの差は大きくありませんが、これが何年も続くと差が開いていくでしょう。

1677_上場外債は、都合により基準価額ではなくて市場価格を用いていますのでイコールコンディションではないのですが、外国債券オープンやeMAXIS先進国債券と同等レベルのトータルリターンとなっているようです。



私は分配金に対してネガティヴではありません。むしろ積極的に分配金が欲しいです。ですが元本を取り崩して分配してもらいたくはありません。

元本を取り崩して基準価額が安くなったときに分配金再投資だけではなく追加投資を行う、という作戦が奏功するのかはよく分かりません。口数は増えていくでしょうし、分配金が一定なら受け取る分配金も増えるでしょうが、基準価額が下落していく方が影響が大きいと思います。

元本を取り崩さない毎月分配型投信ならアリだと思うのですが、そうすると今度は信託報酬の重さが気になります。

また上記の表では分配金にかかる税金を考慮していませんが、実際に分配金を受け取る際には税金がかかります。

以上のように考えていくと、信託報酬にこだわるならETF、分配時の税金にこだわるなら無分配のインデックス投信を選ぶべきかなと思います。毎月分配型投信も上記の期間でトータルリターンがプラスになっていますから損失を被るわけではないのですが、無分配投信やETFを上回るパフォーマンスをあげるにはなんらかの工夫が必要ではないでしょうか。

もちろん、運用しながら取り崩していきたい、このくらいのリターンがあれば十分だという考え方を否定するものではありません。成績がすべてなのではなくて、個人にとってどう使うかが大切だと思うからです。自分で納得できる方法を採用して、結果を自分の責任で受け止める、考えが変わったならやり直せばよい、そういうことなのではないかなと思います。

次回は海外リートを比べてみたいと思います。

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コメント

No title

意外な結果ですね。
毎月分配型は効率が悪いといわれていますが、現実にはそうでもない感じですね。

資産が十分に増えたら、毎月分配型も良いかもしれませんね(*^_^*)

ただ、おっしゃる通り、元本を取り崩すような状況になったら、一気に業績が悪くなる可能性がありますね。

No title

利益分だけ分配する分配型があったとして、分配金を再投資しなければ単利ですよね。
無分配型の場合は複利です。

複利の方がリターンが高いのは全資金をリスクにさらしている見返りですので、単利に比べればハイリスクでハイリターンです。

単利の場合分配された現金は無リターンですが無リスクでもあります。リスク資産と分配金を合わせた全体としては複利に比べてローリスクでローリターンです。

手数料や税金を無視すれば差はこれだけだと思います。

どちらの特性がその人に合っているかを考えれば良いと思います。

それらを踏まえた上で、つぎに実際のビーグルにどういうものがあるかとか税金とかを考えれば良いと思います。

No title

>しらいゆうき さん

思っていたほど悪くはありませんでした。ただそれでも毎月分配型投信は毎月分配の手間がかかる分、信託報酬は高くなってしまいます。長期的にはコスト差の影響が拡大していくと思います。

投信を自動的に取り崩すサービスは存在しているようですので、その点で毎月分配投信を選ぶ必然性はないかもしれません。また自分自身が撤退していますので、誰かにお勧めする気持ちにはなれません。

コメントありがとうございます。


>Tansney Gohn さん

とてもわかりやすくご説明いただきありがとうございます。もやもやしていたものがすっきりしました。また単利と複利の特性を踏まえたうえでどのように活用するかを各人が考えればよいというお話にはまったく同感です。

複利効果がリターンだけではなくリスクも増大させるということは、もっと認知されてもよいのかなと思いました。コメントありがとうございます。

No title

すみません、教えて下さい。
>こうして並べてみてみると、毎月分配型投信もそんなに悪くないなと>いう印象を受けます。

表のどの項目を比較されているのでしょうか?

>トータルリターンに見えますが、、、、、

トータルリターンというのは 変動率+分配率 を言われているのだと思いますが、なぜ変動率+分配率でリターンがわかるのでしょうか?


No title

>新人 さん

>表のどの項目を比較されているのでしょうか?

→トータルリターンの欄を見ています。

>トータルリターンというのは 変動率+分配率 を言われているのだと思います が、なぜ変動率+分配率でリターンがわかるのでしょうか?

→トータルリターンはキャピタルゲイン(ロス)とインカムゲインの合計ですので、年初値を基準とした年末値への変動率と、同じく年初値を基準とした分配率を合計しています。分配金の再投資はこの表では考慮していません。

コメントありがとうございます。

No title

山辺柴刈さん
説明ありがとうございました。よくわかりました。

定期預金で言えば、
毎月分配型投信は期末に元金を一定に取り崩す自動更新の定期預金、
無分配型投信は期末に元金は取り崩さない自動更新の定期預金
と同じですよね。
年利率が同じなら、年毎の利子利益の「率」は同じですよね。

同様に、タイトルの2投信も年度毎にトータルリターン「率」を比較しても
(ほぼ)同じになるのは当然ですよね。

No title

>新人 さん

元本を分配により取り崩していく場合は事情が異なりますが、分配有無そのものはニュートラルであるようです。ただし実際には普通分配金には税金がかかりますし、毎月分配するほうがコストがかかるために信託報酬が相対的に高くなります。

何かのご参考になれば幸いです。コメントありがとうございます。

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