ETF・ETN市場に関する意見交換会@東証(2014/05/21)
実は私にも東証の担当者のかたからお声がかかって参加してきたんですよ、東京証券取引所で開催された「ETF・ETN市場に関する意見交換」に。
出席者は、事務局の東証マーケット営業部のみなさま、ETF・ETN管理会社である日興AM・野村証券・三菱UFJ証券のみなさま、そしてブロガーのみなさまです。参加したブロガーは;
水瀬ケンイチさん(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー):【関連記事】
kenzさん(インデックス投資@川崎):【関連記事①】【関連記事②】
レバレッジ君さん(レバレッジ投資実践日記):【関連記事】
ゆうきさん(ホンネの資産運用セミナー):【関連記事】
吊られた男さん(吊られた男の投資ブログ):【関連記事】
虫とり小僧さん(いつか子供に伝えたいお金の話):【関連記事】
私
の7名です。
有名な方々ばかりだったのでビビってしまいました。私は終始テンパっていて、帰るときには資料やら食べかけのお弁当(サンドウィッチ)やらお手拭きの紙ナプキン(使用済み)やら、みんな袋に入れて持ってきてしまったほどです。
私は自分自身が正統派のインデックス投資家ではないと考えているので、オープンな場に積極的に出て行くことがまずありません。今回は例外的に;
・直接に参加の打診があったから
・テーマが国内ETF・ETNだったから
・東証に行ってみたかったから
ということが主な理由で参加しました。
今回の意見交換会に私が呼ばれたのは、ひとえにブログ名が「国内ETFで資産運用♪」だったからだと思います。そうでなければこんなマイナーなブログの管理者に声がかかることはないと思います。身の程知らずだとは思いながらも、せっかくの機会なので勇気を出して、そして仕事と折り合いをつけて、兜町に行ってきました。
参加するにあたってブログ用の名刺を作って持って行きました。持って行って本当によかったです。ああいいった場で名刺がないとキツいです。いえ、オフでの交流を想定していなかったのでブログ用の名刺なんて持っていなかったんです。あわてて作りました。
この意見交換会に行ってきてよかったです。本当によかった。何がよかったのかというと・・・
まず、有名ブロガーのみなさまご本人とお会いすることができたことです。私は、資産運用ブロガーはお金に対してとんがった人たちだと思っていたんです。でもそんなことなくて、普通に普通の人たちでした。また東証の方々も証券会社の方々も、普通の企業人であると感じました。なんだかとても安心感と信頼感を覚えました。
そしてもう一つは・・・
今の資産運用スタイルを継続しようと思えたことです。もちろん銘柄の入れ替えやETFの活用を拡大することはあると思うのですが、ブログのタイトルの通り「国内ETFで資産運用」を続けようと思います。国内ETFは資産運用のツールとして活用するに足るものであるという思いを強くしました。それは、国内ETFに関わっている人たちの真摯な思いを感じたからです。
気持ちの問題だけではなくて現実的な話をすると、やっぱり取引所に上場しているという事実は重い、ということなんです。国内ETF・ETNは上場商品です。したがってそれだけで様々な規制やハードルを越えている金融商品なのだということです。このことはもっと認知・評価されてもよいのではないかと思いました。
ともあれ、国内ETF・ETNを活用するもしないも個人の自由です。私は活用しようと思う、ただそれだけです。
それでは、意見交換会のメモを記しておきたいと思います。
・バランス型のETFを組成できるか? →単品よりコスト高になる可能性や設定・解約のルール作りなど越えるべきハードルがあるが、ニーズがあれば可能。
・逆に国内ETFを組み込んだバランス型投資信託は作れないのか? →小規模であるがすでに存在している。
・国内債券ETFは組成できないのか? →ETFにせよETNにせよ組成自体は可能だが、米国債など比べて値動きが小さく売買のスプレッドが狭いため、マーケットメイクに問題がある。
・国内債券のインデックスファンドはリターンに対して信託報酬の負担が重いため、信託報酬の低いETFとしての実現を望む。
・バンガードETF(VT)は東証に上場しないのか? →上場に要するコスト(日本語での開示など)や販売チャネルの問題から、現状では予定されていない。
・新興国株式クラスのフリーETFを作ってほしい →フリーETFは通常のETFとの差別化に成功していると思う。検討してみたい。
・日本のETF純資産額の伸びは海外でも注目されている。
・先日JPX日経インデックス400連動のETFを上場した。このETFの資産額が増えていけばまた次のETFの組成に取り組める。
・ETNは長期投資向けの商品がない →ETNは、ETFで設定するとコストがかかってしまう日経平均ボラティリティーインデックスなどへの連動にメリットがある。長期投資の観点からは、新規上場や一部の銘柄の人気化により大きく変動する東証マザーズ指数に連動する2042_東証マザーズETNや、配当込みの指数に連動する2043_アセアン高配当50ETNなどがある。
・ETNは資産の裏付け(担保)を用意しているのか? →有担保のETNを上場することを妨げないが、上場すること自体にすでにハードルがある。また担保を用意するとコストアップになってしまう。
・インデックス投資家は現物にこだわりすぎているのかもしれない。現物だからリスクがないわけではない。
・日本は上場廃止にかかるコストが高い。それは取引所に対してではなく投資家への説明が必要になるため。
・ETFが上場廃止しても投資家は理論価格での買い取りに応じてもらえるのでお金がゼロになってしまうわけではない。
・ETFの信託報酬の値下げは可能か? →運用資産が増えれば可能。
・信託報酬はどのように運用資産から引かれているのか? →日割りして毎日帳簿上で差し引きして運用資産と区別しておいて、決算時に清算する。
・広義のマーケットメイカーには、設定・交換を行う指定参加者(1本のETFに対して2社)と、狭義のマーケットメイカーがある。
・狭義のマーケットメイカーがどのETFにどのくらいついているのか知りたい →指定参加者は公開しているが、海外のマーケットメイカーがどのくらいついているかについては取引の内幕をバラすことになるので公開できない。
・東証はマーケットメイカーに対して取引上の義務を課しているのか? →海外だと一定時間に板を立てるなどの義務がある場合があるが、東証では数値的な義務は課していない。
・マーケットメイクは人が行っているのか、コンピュータが行っているのか? →数人の人間によって行われている。
・マーケットメイカーが活動する時間帯は決まっているのか? →海外取引所の時間に影響を受ける。北米のETFは香港証取で売買されている。日本の取引所が開く時間にはまだ香港は活動していないので、この時間に板を立てるとリスクを負ってしまう。したがって用心する時間帯はある。
・ETFのDRIP(分配金再投資)はなぜできないのか? →証券会社によって株式だけだったりETFも含めたりするが、配当・分配金から税金を控除して再投資する「るいとう」のサービスは存在している。
・TOPIXなど同じ指数に連動するETFが何本も上場しているのは流動性から不利ではないか? →機関投資家が売買しやすくなるため、むしろもっと増やしてほしいという要望がある。
・ETFに組み込まれている個別株式の株主優待はどこに行ってしまうのか? →換金できるものは換金して分配金に上乗せする。換金できないものは廃棄している。受益者を平等に扱わねばならないため、換金できない優待を抽選などで一部の受益者にのみ還元するこということはできない。
・レバレッジ型とインバース型は減価していく特性がある。海外ではこの点の周知不足により訴訟が発生している。ブロガーの情報発信に期待している。
以上、ずらずら書いてしまいましたが、漏れや誤解があっても許してください。すみません。メモを取るのが結構大変で、というのは単語の意味が分からないこともあったり、よく理解できなかったり、集中力が切れたり、予定時間の90分があっというまに経ちました。
「信託報酬」が「しんぽう」と略して呼ばれていることに驚きました。「ゆうほう」(有価証券報告書)の仲間かと思ってしまいました。
レバレッジ・インバース型については、私自身、痛い目に遭っていますのでその時の記事をご紹介します。
【失敗談】1552_VIX短期先物指数(その1)
【失敗談】1552_VIX短期先物指数(その2)
最後に謝辞です。
東証のみなさま、このような場を設定して呼んでいただきありがとうございました。
管理会社のみなさま、現場のナマのお話を聞かせていただきありがとうございました。
ブロガーのみなさま、当日はお世話になりました。温かく接していただきありがとうございました。
出席者は、事務局の東証マーケット営業部のみなさま、ETF・ETN管理会社である日興AM・野村証券・三菱UFJ証券のみなさま、そしてブロガーのみなさまです。参加したブロガーは;
水瀬ケンイチさん(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー):【関連記事】
kenzさん(インデックス投資@川崎):【関連記事①】【関連記事②】
レバレッジ君さん(レバレッジ投資実践日記):【関連記事】
ゆうきさん(ホンネの資産運用セミナー):【関連記事】
吊られた男さん(吊られた男の投資ブログ):【関連記事】
虫とり小僧さん(いつか子供に伝えたいお金の話):【関連記事】
私
の7名です。
有名な方々ばかりだったのでビビってしまいました。私は終始テンパっていて、帰るときには資料やら食べかけのお弁当(サンドウィッチ)やらお手拭きの紙ナプキン(使用済み)やら、みんな袋に入れて持ってきてしまったほどです。
私は自分自身が正統派のインデックス投資家ではないと考えているので、オープンな場に積極的に出て行くことがまずありません。今回は例外的に;
・直接に参加の打診があったから
・テーマが国内ETF・ETNだったから
・東証に行ってみたかったから
ということが主な理由で参加しました。
今回の意見交換会に私が呼ばれたのは、ひとえにブログ名が「国内ETFで資産運用♪」だったからだと思います。そうでなければこんなマイナーなブログの管理者に声がかかることはないと思います。身の程知らずだとは思いながらも、せっかくの機会なので勇気を出して、そして仕事と折り合いをつけて、兜町に行ってきました。
参加するにあたってブログ用の名刺を作って持って行きました。持って行って本当によかったです。ああいいった場で名刺がないとキツいです。いえ、オフでの交流を想定していなかったのでブログ用の名刺なんて持っていなかったんです。あわてて作りました。
この意見交換会に行ってきてよかったです。本当によかった。何がよかったのかというと・・・
まず、有名ブロガーのみなさまご本人とお会いすることができたことです。私は、資産運用ブロガーはお金に対してとんがった人たちだと思っていたんです。でもそんなことなくて、普通に普通の人たちでした。また東証の方々も証券会社の方々も、普通の企業人であると感じました。なんだかとても安心感と信頼感を覚えました。
そしてもう一つは・・・
今の資産運用スタイルを継続しようと思えたことです。もちろん銘柄の入れ替えやETFの活用を拡大することはあると思うのですが、ブログのタイトルの通り「国内ETFで資産運用」を続けようと思います。国内ETFは資産運用のツールとして活用するに足るものであるという思いを強くしました。それは、国内ETFに関わっている人たちの真摯な思いを感じたからです。
気持ちの問題だけではなくて現実的な話をすると、やっぱり取引所に上場しているという事実は重い、ということなんです。国内ETF・ETNは上場商品です。したがってそれだけで様々な規制やハードルを越えている金融商品なのだということです。このことはもっと認知・評価されてもよいのではないかと思いました。
ともあれ、国内ETF・ETNを活用するもしないも個人の自由です。私は活用しようと思う、ただそれだけです。
それでは、意見交換会のメモを記しておきたいと思います。
・バランス型のETFを組成できるか? →単品よりコスト高になる可能性や設定・解約のルール作りなど越えるべきハードルがあるが、ニーズがあれば可能。
・逆に国内ETFを組み込んだバランス型投資信託は作れないのか? →小規模であるがすでに存在している。
・国内債券ETFは組成できないのか? →ETFにせよETNにせよ組成自体は可能だが、米国債など比べて値動きが小さく売買のスプレッドが狭いため、マーケットメイクに問題がある。
・国内債券のインデックスファンドはリターンに対して信託報酬の負担が重いため、信託報酬の低いETFとしての実現を望む。
・バンガードETF(VT)は東証に上場しないのか? →上場に要するコスト(日本語での開示など)や販売チャネルの問題から、現状では予定されていない。
・新興国株式クラスのフリーETFを作ってほしい →フリーETFは通常のETFとの差別化に成功していると思う。検討してみたい。
・日本のETF純資産額の伸びは海外でも注目されている。
・先日JPX日経インデックス400連動のETFを上場した。このETFの資産額が増えていけばまた次のETFの組成に取り組める。
・ETNは長期投資向けの商品がない →ETNは、ETFで設定するとコストがかかってしまう日経平均ボラティリティーインデックスなどへの連動にメリットがある。長期投資の観点からは、新規上場や一部の銘柄の人気化により大きく変動する東証マザーズ指数に連動する2042_東証マザーズETNや、配当込みの指数に連動する2043_アセアン高配当50ETNなどがある。
・ETNは資産の裏付け(担保)を用意しているのか? →有担保のETNを上場することを妨げないが、上場すること自体にすでにハードルがある。また担保を用意するとコストアップになってしまう。
・インデックス投資家は現物にこだわりすぎているのかもしれない。現物だからリスクがないわけではない。
・日本は上場廃止にかかるコストが高い。それは取引所に対してではなく投資家への説明が必要になるため。
・ETFが上場廃止しても投資家は理論価格での買い取りに応じてもらえるのでお金がゼロになってしまうわけではない。
・ETFの信託報酬の値下げは可能か? →運用資産が増えれば可能。
・信託報酬はどのように運用資産から引かれているのか? →日割りして毎日帳簿上で差し引きして運用資産と区別しておいて、決算時に清算する。
・広義のマーケットメイカーには、設定・交換を行う指定参加者(1本のETFに対して2社)と、狭義のマーケットメイカーがある。
・狭義のマーケットメイカーがどのETFにどのくらいついているのか知りたい →指定参加者は公開しているが、海外のマーケットメイカーがどのくらいついているかについては取引の内幕をバラすことになるので公開できない。
・東証はマーケットメイカーに対して取引上の義務を課しているのか? →海外だと一定時間に板を立てるなどの義務がある場合があるが、東証では数値的な義務は課していない。
・マーケットメイクは人が行っているのか、コンピュータが行っているのか? →数人の人間によって行われている。
・マーケットメイカーが活動する時間帯は決まっているのか? →海外取引所の時間に影響を受ける。北米のETFは香港証取で売買されている。日本の取引所が開く時間にはまだ香港は活動していないので、この時間に板を立てるとリスクを負ってしまう。したがって用心する時間帯はある。
・ETFのDRIP(分配金再投資)はなぜできないのか? →証券会社によって株式だけだったりETFも含めたりするが、配当・分配金から税金を控除して再投資する「るいとう」のサービスは存在している。
・TOPIXなど同じ指数に連動するETFが何本も上場しているのは流動性から不利ではないか? →機関投資家が売買しやすくなるため、むしろもっと増やしてほしいという要望がある。
・ETFに組み込まれている個別株式の株主優待はどこに行ってしまうのか? →換金できるものは換金して分配金に上乗せする。換金できないものは廃棄している。受益者を平等に扱わねばならないため、換金できない優待を抽選などで一部の受益者にのみ還元するこということはできない。
・レバレッジ型とインバース型は減価していく特性がある。海外ではこの点の周知不足により訴訟が発生している。ブロガーの情報発信に期待している。
以上、ずらずら書いてしまいましたが、漏れや誤解があっても許してください。すみません。メモを取るのが結構大変で、というのは単語の意味が分からないこともあったり、よく理解できなかったり、集中力が切れたり、予定時間の90分があっというまに経ちました。
「信託報酬」が「しんぽう」と略して呼ばれていることに驚きました。「ゆうほう」(有価証券報告書)の仲間かと思ってしまいました。
レバレッジ・インバース型については、私自身、痛い目に遭っていますのでその時の記事をご紹介します。
【失敗談】1552_VIX短期先物指数(その1)
【失敗談】1552_VIX短期先物指数(その2)
最後に謝辞です。
東証のみなさま、このような場を設定して呼んでいただきありがとうございました。
管理会社のみなさま、現場のナマのお話を聞かせていただきありがとうございました。
ブロガーのみなさま、当日はお世話になりました。温かく接していただきありがとうございました。
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コメント
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こちらこそ
>kenzさん
私は先日のような会に出席するのは初めてでしたが、大変勉強になりました。またよい刺激になりました。
こちらこそよろしくお願い申し上げます。
私は先日のような会に出席するのは初めてでしたが、大変勉強になりました。またよい刺激になりました。
こちらこそよろしくお願い申し上げます。
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なかなか貴重なお話が聞けて有意義でしたね。
今後ともよろしくお願いいたします。